◆鳳声集（同人）秀句
◆鳳声集（同人）秀句
貫入の確かな響き初桜 松田 雄姿
花筏組まるるほどのにはたづみ 山本三樹夫
またの世へいざなふ夜の花吹雪 松内 佳子
花吹雪手に受け小さき舌に受け 小田 玲子
満願の僧の仰げる初桜 石﨑 宏子
ほととぎす大きな池が村境 平岡千代子
大仏の笑顔の絵地図うららけし 不破 秀介
春の街反戦歌弾くヴァイオリン 大和あい子
こころ病む文豪多し蜃気楼 北川 玉樹
窯出しを明日に控へし春の月 三木星音子
狂想曲十指をどらせ春一番 平野きらら
腰かけて花みる齢となりにけり 池田ブランコ
食ひ初めの膳をはみだす桜鯛 岩谷 塵外
散歩車に乗る子歩く子春の風 上田久美子
花ふぶき今日いちにちの旅衣 大石ひろ女
満員のロープウェーや山笑ふ 甲斐のぞみ
人声の風に乗り来る野焼きかな 景山まり子
春愁を晴れ着とともに畳みけり 片桐 きよ
春の雪復興寄席を巡演す 神田 松鯉
春の海眺め六十路となりにけり 國田 欽也
貝がらめく花びら波にひかれゆく 小林とみゑ
戦前戦中戦後を生きて昭和の日 小村たい子
退院の朝窓の外花吹雪 坂本たま子
富士山の翼の如き春の虹 佐野 良子
百千鳥シテワキ囃し揃ひけり 杉本 今子
鳥けもの天地に放ち山笑ふ 関口喜代子
鶯の声にラリーの音弾む 高畠 光子
草餅も郷の言葉も柔らかし 髙宮 義治
遮断機のなき踏切や春耕す 滝本 香世
亡き兄のギターを鳴らす春の星 武田 和代
古民家に骨酒を飲む春炉かな 田代 和峰
ホスピスに身罷りし姉夕ざくら 谷口 裕
逸れたるひとりを探す花疲れ 冨迫 翠
閉校式みなで風船飛ばしけり 中川 英子
江ノ電の海側の席春惜しむ 中武 律子
子の墓に言葉をかけて花仰ぐ 西村なほみ
奥山の馴染の宿や木の芽和へ 早瀬 和子
鳥雲に唐門は華美尽くしたり 広瀬 公子
幼子に貰ふ四つ葉のクローバー 松村 光子
マスクとり心ゆくまま春田道 三上 繁夫
オンライン会議にも慣れ花ぐもり 毛利 晴美
春暁の雲に乗りたき誕生日 森田佳代子
無沙汰詫ぶ文に添へたる花便り 山本あかね
墓跡のみ残し廃寺や諸葛菜 渡辺 昌子
◆百鳥集（会員）巻頭句と選評
祖父の名は源左衛門や畦を塗る 齊藤眞一郎
畦を塗りながら祖父の名前を思っている。代々農作業を営む人の信念を感ずる句である。今月は「田一枚打ちて小雨の湿りかな」「畦道の雀飛び立つ穀雨かな」などもあったが、昨年は次のような句もあった。「春田より筑波二峰を眺めをり」（５月号）、「耕しの土くれ光る田圃かな」（６月号）、「畑仕事終へて暮春の厨に灯」（７月号）。齊藤さんは農業を愛し農業に勤しむ人である（大串章）
◆今月の主な内容
◆山河逍遥（161） ―大串章の一句― 〔主宰作品鑑賞〕 ……… 北川玉樹
◆今月の名句 〔秀句抄出〕 ……………………………………… 森賀まり抽
◆「田植機」〔主宰作品〕 ……………………………………………… 大串章
◆鳳声集（一）〔同人作品〕（自選）
◆鳳声集（二）〔同人作品〕（主宰選）
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦
◆こんにちは 〔新同人紹介〕 ………………………… 中島伸也・長江英子
◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―５月号〕………………… 吉田千嘉子（「たかんな」）
◆自句のほとり（167・168）〔同人自句自解〕 ……… 寺松美代子・宮城章
◆俳句の共感覚 ――〔長期連載〕芭蕉を中心に現代までを探る 第５回
……………………………………………………… 望月清彦
◇百鳥こども俳句 …………………………………………………… 山根繁義選
◆２か月競詠 〔特別作品〕 ……………………………… 田中陽子・谷口裕
競詠評 ………………………………………………………… 山本三樹夫
◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 …………………………… 川原瀞秋
◆今月の本棚 ―― 池田澄子著『本当は逢いたし』〔書評〕…… 中村昭義
◆探鳥１ 〔同人作品鑑賞 ―５月号〕 ………………… 中山世一
◆探鳥２ 〔雑詠５句欄鑑賞 ―５月号〕 ……………… 中條ひびき
◆探鳥３ 〔雑詠２・３・４句欄鑑賞―５月号〕 …………………… 冨迫翠
◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品 ― 団扇〕 …………………… 徳永真弓選
◆私の好きな季語（91）― 蛍 ……………………………………… 竹内香代
◆失敗しない文語文法（43） ……………………………………… 楢崎美和子
◆百鳥集 〔雑詠〕 …………………………………………………… 大串章選
◆百鳥の俳句〔雑詠選評〕 ……………………………………………… 大串章
◆７月号句会案内
