◆鳳声集（同人）秀句
◆鳳声集（同人）秀句
晩年も佳境に入りぬ新走り 松田 雄姿
おしろいの花増えてくる母の家 森賀 まり
月の夜は天翔るべし千羽鶴 松内 佳子
虫の声仁王の足の辺りより 宮沢美和子
谷川をはさむ集落送り盆 平岡千代子
法師蟬井筒の傍に由緒書 酒井 康正
亡き人の手を取り花野巡りけり 北川 玉樹
おけさ節流るる港鳥渡る 村田美穂子
夕暮れに溶け込んでゆく蕎麦の花 平野きらら
爽やかや椰子の葉擦れの高きより 青池 亘
ルビつきし活字なつかし秋深む 朝倉 順子
山峡の宿見えて来し赤とんぼ 安宅 弘子
墓参り頭上飛び行く軍用機 池田 恭子
秋風や同じ造りの家並ぶ 池田ブランコ
爽やかや駅員の押す車椅子 井上 進
うろこ雲ボッチャチャレンジしてみたし 江頭つとむ
山門の長き石段つくつくし 大石ひろ女
漱石も渡りし廊下虫の宿 岡林 稲甫
初紅葉川を挟みて御師の家 甲斐ゆき子
爽やかや記念切手に敦盛草 甲斐よしあき
被爆樹の深き亀裂や秋日濃し 柿澤喜三郎
笑はせて終る説教盂蘭盆会 神田 松鯉
長き夜の気がつくたびにひとりかな 小儀 洋子
病窓に白木槿見え点滴す 斎藤ひでを
大戦の慰霊碑に鳴く法師蟬 酒徳せつ子
公園デビュー小鹿跳ねては母がりへ 佐口 直子
茄子娘顔出しさうな夜長かな 三遊亭圓馬
蛸焼をまはす手さばき秋祭 塩瀨 信夫
見舞ひたる後秋の海見て帰る 杉山みゆき
塑像仏金銅仏や水澄めり 中條ひびき
燈火親し企業戦士も八十路かな 寺尾 若水
明窓浄机ただ虫の音を待つばかり 土倉 智美
虫の音やひとりはやめに出勤す 中山 奈々
身に入むや仏かくまで彫るこころ 楢崎美和子
終戦日よりの樺太語る姉 西 石蕗
吊橋を渡る一行秋気澄む 早瀬 和子
東京に父母の墓あり鳥渡る 原 ヤス子
花芒風の意の儘夕映ゆる 日浦 静代
すり鉢の胡麻の残り香秋の暮れ 舛添 迪弘
上空のヘリに手を振る秋出水 水沢 燕子
一叢の撫子揺るる憶良歌碑 毛利 晴美
昆布干す浜から仰ぐ利尻富士 森 道隆
木の実落つ土偶の腰の豊かなる 山本あかね
農継ぎし青年の田の稲熟るる 渡辺 正子
◆百鳥集（会員）巻頭句と選評
名月や時空の旅の石舞台 長江 英子
名月を見上げながら「石舞台」のことを想っている。時空を越えてさまざまなことを想起させる石舞台である。この石舞台は奈良県明日香村の飛鳥歴史公園にある日本最大級の横穴式石室、長江英子さんは嘗てその巨大な石舞台を見に行かれたのだろう。私も30年程（？）以前、百鳥の仲間と訪れたことがある。
この石舞台周辺では、毎年、中秋の名月のころ観月会が行われているが、今年は残念ながらコロナ禍のため中止された。来年は開催されるのだろうか。ちょっと気になるので飛鳥観光協会に電話で聞いてみたら、現在の時点では未定、新規感染者数の今後の状況次第と言うことであった。（大串章）
◆今月の主な内容
◆山河逍遥（154） ―大串章の一句― 〔主宰作品鑑賞〕 ……… 北川玉樹
◆今月の名句 〔秀句抄出〕 ……………………………………… 森賀まり抽
◆「干柿」〔主宰作品〕 ………………………………………………… 大串章
◆鳳声集（一）〔同人作品〕（自選）
◆鳳声集（二）〔同人作品〕（主宰選）
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦
◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―10月号〕 ………………… 陽美保子（「泉」）
◆自句のほとり（153・154）〔同人自句自解〕 ……… 中山奈々・野田勝子
《年間展望》
鳳声集 ア行～サ行 季節は巡る ………………………………… 徳永真弓
鳳声集 タ行～ワ行 コロナに負けず …………………………… 北川玉樹
百鳥集 ア行～サ行 日々の暮しの中で ………………………… 毛利晴美
百鳥集 タ行～ワ行 表現の場 …………………………………… 木下涼薫
◇百鳥こども俳句 …………………………………………………… 山根繁義選
◆２か月競詠 〔特別作品〕 ……………………………… 齋藤脩・小儀洋子
競詠評 ………………………………………………………… 鍬形ゆきこ
◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 ………………………… 藤井智恵子
◆今月の本棚 『森田峠全句集』〔書評〕 ………………………… 武藤洋一
◆探鳥１ 〔同人作品鑑賞 ―10月号〕 ……………… 平岡千代子
◆探鳥２ 〔雑詠５句欄鑑賞 ―10月号〕 ………………… 岩谷塵外
◆探鳥３ 〔雑詠２・３・４句欄鑑賞―10月号〕 ………………… 小野元夫
◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品 ― 冬の夜〕 ……………… 平野きらら選
◆私の好きな季語（84）― 冬青空 …………………………………… 谷口裕
◆失敗しない文語文法（36） ……………………………………… 楢崎美和子
◆百鳥集 〔雑詠〕 …………………………………………………… 大串章選
◆百鳥の俳句〔雑詠選評〕 ……………………………………………… 大串章
◆12月号句会案内
