◆鳳声集（同人）秀句
◆鳳声集（同人）秀句
爽やかや顔を上ぐればそこに富士 甲斐 遊糸
砂地這ふ草の強さや油照り 中山 世一
籠り居に孫よりエール桃届く 塩谷 康子
秋雲や記憶の人に問ひ続け 上野 澄江
長崎忌図書館にゐて黙禱す 中村 昭義
夜濯ぎや看取りの日々の懐かしき 若林杜紀子
億年の地層の息吹滴れり 相川 幸代
月涼し民族衣裳の選手団 安達 輝美
終戦日蘇州夜曲のラジオより 荒木 民子
枇杷を剝く手に少年の日の記憶 池田 耕二
氾濫の水面行き交ふ秋燕 入谷 一舟
星月夜よだかの星を児に問はる 岩谷 塵外
称へ合う勝者と敗者汗光る 上田久美子
コスモスのさざ波をゆく肩車 岡野かんな
義仲寺の亀の子遊ぶ盥かな 沖増 修治
語部の卒寿の英語原爆忌 小倉 有子
大文字の火の裏側の読経かな 小野 元夫
金魚田の夕焼空に染まりけり 甲斐よしあき
新真打汗の高座に鋭気満つ 神田 松鯉
号泣の恩師偲ぶや終戦日 小池 康夫
水彩画の画廊湖畔に遠青嶺 小出 功
仙翁花覚えし若き日の山路 小林とみゑ
滝の上にさらに滝ある秘境かな 小林 烈
禁演の落語も解かれ終戦日 三遊亭圓馬
はらからの優しき訛墓洗ふ 重岡 藍玉
ワイン開け隣を誘ふキャンプ村 杉 好恵
砲身を造りし父や敗戦忌 谷口 裕
終戦日より始まりし一代記 土倉 智美
草の先になりきつてゐる蜻蛉かな 冨迫 翠
オリンピック溽暑のパター決めにけり 中村 晋子
黙禱の鐘にかなかな添ひにけり 西 石蕗
谷川に子らと米研ぐ敗戦日 野田 勝子
露けしや母の遺品に夢二の絵 長谷川久美子
がりがりとラジオを齧るはたた神 早川 高士
敗戦忌捕虜収容地跡に住む 林 喜久子
初秋やローカル線のひとり旅 早瀬 和子
乗り降りのなき炎昼の路線バス 百武みどり
はんなりと船場言葉や祭鱧 広瀬 公子
恐竜の好きな少年夏休み 松村 光子
立ち読みの世阿弥の詩劇夜の秋 松本珍比古
生身魂大正浪漫のモボとモガ 松本 欣子
稲の花遺跡に隣る小学校 水野 幸子
風孕みヨットの国旗競ひ合ふ 宮島ひろ子
新涼や十三歳のメダリスト 森 加名恵
◆百鳥集（会員）巻頭句と選評
原生林つらぬく早瀬水澄めり 原田 香伯
原生林は自然のままの森林、伐採など一切おこなわれていない。そこには切株や枝打ちの跡など一つも無い。その原生林を一筋の水が勢いよく流れてゆく。水は透きとおり川底の小石や地肌があらわに見える。都会の喧騒を離れコロナ禍の憂いを忘れさせてくれる。（大串章）
◆今月の主な内容
◆山河逍遥（153） ―大串章の一句― 〔主宰作品鑑賞〕 …… 藤井智恵子
◆今月の名句 〔秀句抄出〕 ……………………………………… 森賀まり抽
◆「稲の花」〔主宰作品〕 ………………………………………………… 大串章
◆鳳声集（一）〔同人作品〕（自選）
◆鳳声集（二）〔同人作品〕（主宰選）
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦
◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―９月号〕 ………………… 陽美保子（「泉」）
◆よろしく ― 秋桜の会 〔句会紹介〕 ………………………… 森加名恵
◆自句のほとり（151・152）〔同人自句自解〕 ………… 岩谷塵外・近藤一
《大串章句集『恒心』特集》
総論 ………………………………………… 坂口昌弘・寺島ただし
（「駒草」）
一句鑑賞 ……………… 今瀬剛一 ・ 栗林浩
（「対岸」）（「街」「遊牧」「小熊座」「円錐」）
西村麒麟 ・ 八木幹夫
（「古志」）
青池亘・井上進・北川玉樹・久保田哲子
中山奈々・比田誠子・望月周・森賀まり
◇百鳥こども俳句 …………………………………………………… 山根繁義選
◆２か月競詠 〔特別作品〕 ……………………………… 小儀洋子・齋藤脩
競詠評 …………………………………………………………… 酒井康正
◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 ………………………… 藤井智恵子
◆今月の本棚 柏原眠雨『大震災の俳句』〔書評〕 ……………… 中村昭義
◆探鳥１ 〔同人作品鑑賞 ―９月号〕 ……………… 村田美穂子
◆探鳥２ 〔雑詠５句欄鑑賞 ―９月号〕 ………………… 安室敏江
◆探鳥３ 〔雑詠２・３・４句欄鑑賞―９月号〕 ………………… 遠藤千波
◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品 ― 烏瓜〕 ………………… 平野きらら選
◆私の好きな季語（83）― 時雨 ……………………………………… 汲田泉
◆失敗しない文語文法（35） ……………………………………… 楢崎美和子
◆百鳥集 〔雑詠〕 …………………………………………………… 大串章選
◆百鳥の俳句〔雑詠選評〕 ……………………………………………… 大串章
◆11月号句会案内
