◆鳳声集（同人）秀句
◆鳳声集（同人）秀句
甲斐の山縫ひ甲斐の川小鳥来る 甲斐 遊糸
夜這星木曽の五木の上を飛ぶ 中山 世一
蕎麦の花山河の色に加はりぬ 佐野まさる
庭の草抜かずこほろぎ鳴くかぎり 藤井 淑子
木の実落つ文学の径眩しめば 上野 澄江
大花野天より来る人と居る 中村 昭義
十三夜故国を語り二胡を弾き 石﨑 宏子
揚げ舟に踊の影の伸びてゐし 平岡千代子
露の世の文士の語録碑にしのぶ 田中 清之
マリーナに隣る漁港や鳥渡る 相川 幸代
倒伏の稲刈る鎌を研ぎにけり 阿部 敬子
昼の虫ベッドタウンの眠りをり 飯塚 國光
樹の洞に雨染む暗さ晩夏かな 石川喜代美
小次郎に武蔵ほほ笑む菊人形 内田 宏
石蹴つて山肌上がる仔鹿かな 江坂 衣代
敗戦日台座に像のありし日よ 遠藤 紀哉
魔除けめく車庫に吊られし唐辛子 岡野さち子
終電の後の踏切虫の闇 岡林 稲甫
秋暑しグラウンドゼロの追悼碑 小池 康夫
秋簾裏にトロ箱積まれあり 杉浦 早苗
コスモスは風待つ花と思ひけり 髙野万津江
山迫る蜑の庭先昼の虫 髙宮 義治
古池の句碑の歳月しんちぢり 高柳かつを
黒猫抱くナポリの漁師秋高し 田中 敬子
落花生掘る喜びの親子かな 土屋 明子
秋暑し看取りの要旨聞きにけり 寺松美代子
古は配流の小島曼珠沙華 野口 寿雄
湿原の木道白し鰯雲 野田 勝子
赤とんぼ大八の柄にとまりけり 早瀬 和子
門川に浸す仏華や秋澄めり 広瀬 公子
蝦夷栗鼠の胡桃抱ふる頃となり 藤原 月女
星月夜昇天中の人あまた 不破 秀介
少年ダイバー爽やかに魚語りけり 村田美穂子
神木を選びし蟬の殻あまた 毛利 晴美
張り出せる一枝に秋の滝はげし 森 加名恵
露けさの松葉ためたる篝籠 森田佳代子
吾亦紅銀座の花舗に売られをり 大和あい子
結界のわからぬ史跡小鳥来る 渡辺きよえ
鳥渡るタイムカプセル眠る丘 渡辺 孝子
茶畑の道縦横に雲の峰 渡辺 昌子
◆百鳥集（会員）巻頭句と選評
月光へ踊り出でたる波がしら 西口 麻里
月光の下、海原に波頭が輝いている。その中の一際大きな波頭にスポットライトを当てた句である。月の光に輝く大きな波頭が眼前に迫ってくる。「月光へ」が句柄を大きくし、「踊り出で」が句に勢いをもたらしている。大自然の鼓動を感じさせる句として捨て難い。（大串章）
◆今月の主な内容
◆山河逍遥（96） 〔大串章作品鑑賞〕 ………………………… 望月 周
◆今月の名句 〔秀句抄出〕 ……………………………………… 比田 誠子
◆「花野」〔主宰作品〕 …………………………………………… 大串 章
◆鳳声集（一）〔同人作品〕（自選）
◆「新年百鳥の集い」ご案内／第５回「百鳥同人吟行会」のお知らせ
◆鳳声集（二）〔同人作品〕（主宰選）
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦
◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―10月号〕……………… 原 雅子（梟）
◆こんにちは 〔新同人紹介〕 …………………… 渡邊 茂・渡辺 孝子
◆第５回同人吟行会の見どころ …………………………………… 山本三樹夫
◆自句のほとり（43・44）〔自句自解〕…………… 柏本 初代・松本 欣子
◆《年間展望》
鳳声集（ア行～サ行）――地につく ………………………… 太田 土男
（タ行～ワ行）――百鳥その自在なる飛翔 ………… 塩谷 康子
百鳥集（ア行～サ行）――津津浦浦からそれぞれの声 …… 高柳かつを
（タ行～ワ行）――それぞれに精進の成果 ………… 阿部いく子
◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 ………………………… 平田 倫子
◆２か月競詠 〔特別作品〕 ……………………… 小池 康夫・長野 靖子
競泳評 ………………………………………………………… 小田 玲子
◆探鳥１ 〔同人作品鑑賞 ―10月号〕 ……………… 中村 昭義
◆探鳥２ 〔雑詠５句欄鑑賞 ―10月号〕 ……………… 山根 繁義
◆探鳥３ 〔雑詠２・３・４句欄鑑賞―10月号〕 ……………… 郷田 健郎
◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品 ―― 白鳥〕 ……………… 上野澄江選評
◆ひろば 〔エッセイ〕 …………………………… 冨迫 翠・棟戸 史
◆私の好きな季語（24）〔エッセイ〕 …………………………… 髙宮 義治
◆言葉の手帳（24）〔短評〕 ……………………………………… 酒井 康正
◆百鳥集 〔雑詠〕 ………………………………………………… 大串 章選
◆百鳥の俳句〔雑詠欄選評〕 ……………………………………… 大串 章
◆12月号句会案内
