◆鳳声集（同人）秀句
◆鳳声集（同人）秀句
明るみへゆく笹鳴きについて行く 櫛原希伊子
そのかみの塩の道来る初荷かな 甲斐 遊糸
初東風や松の風格おのづから 比田 誠子
湯を落とす細長き音枇杷の花 森賀 まり
寒垢離の水に飛びつく光かな 久保田哲子
旅立たす二十歳の春着棺に掛け 若林杜紀子
幼子のひよこの釦春を待つ 徳永 真弓
陰膳の雑煮単身赴任の子 阿部 敬子
臈たけし足袋の運びや能舞台 岩谷 塵外
除夜の鐘去りゆくものの足早に 植松未知男
浅草に昭和の形見炭火の香 川原 瀞秋
初山河母の育ちし畦を行く 久保田 妙
成人の日や振袖の車椅子 近藤 一
園丁の大梯子据ゑ初仕事 斉藤 明子
初めての駅はじめての町寒し 齋藤 佳織
乗り越して見知らぬ町にゆりかもめ 佐藤 京子
元朝の浜辺にシャドーボクシング 三遊亭金遊
相方と同じジャケット猿廻し 塩瀨 信夫
てつぺんに水鳥遊ぶ逆さ富士 髙木 岳羊
サーベルを提げし銅像冬に入る 高畠 光子
目を病みて歩くふるさと初景色 武田 眞砂
帆柱の中より初日船溜り 田子 萌
神木に深き傷あと日脚伸ぶ 中條ひびき
屋敷林残る古民家初御空 鶴田 寿子
スカイツリーへ飛び移るかに梯子乗り 冨永 道子
銅像の乙女マフラー巻かれけり 中村 晋子
三百年の松見上げゐる春著かな 長戸 幸江
寒鴉鬱吐くごとく啼きにけり 長野 靖子
雪しんしん息詰めて描くこけしの眼 新津 黎子
雪吊のてつぺん飛行機過ぎにけり 西 石蕗
海原の岩に祠や注連飾る 野田 勝子
外つ国の人と雪吊褒め合へり 英 龍子
梟の森に凍裂走りけり 深田 雅敏
成人の日晴着の中のチョゴリかな 藤井智恵子
左隻から右隻へ風の吹く屛風 不破 秀介
この道を恵方と定め真中行く 本城 宏基
青き目と笑顔の御慶交はしけり 水沢 燕子
今年てふ旅の始まり初電車 安室 敏江
枯蔓の一筋青き余力あり 山野 静恵
万屋の店に積まるる初荷かな 渡辺 昌子
◆百鳥集（会員）巻頭句と選評
古墳より我が町望む淑気かな 髙津 昌子
新春の瑞気みなぎる中、古墳の上から「わが町」を眺める。はるか昔の古墳時代から「わが町」に人が暮らしていたかと思うと感慨深い。古墳時代は３世紀後半から７世紀に至る間であるから、その後数世紀のあいだ人人は永永と命を育んできたのだ。しかし考えてみると、そのころ人が住んでいたのは古墳の周辺だけで、「わが町」の辺りはまだ未開の荒野だったのかもしれない。そうした荒野が歳月の流れの中で町になって来たのかもしれない。いずれにしても、古墳の上から「わが町」を眺めていると、さまざまな思いが胸中を去来する。（大串章）
◆今月の主な内容
◆山河逍遥（88） 〔大串章作品鑑賞〕 …………………………… 望月 周
◆今月の名句 〔秀句抄出〕 ……………………………………… 比田 誠子
◆「土筆の声」〔主宰作品〕 ………………………………………… 大串 章
◆鳳声集（一）〔同人作品〕（自選）
◆鳳声集（二）〔同人作品〕（主宰選）
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦
◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―２月号〕……… 鶴岡加苗（狩・夕凪）
◆こんにちは 〔新同人紹介〕 ………………………… 小川 忍・國田欽也
◆自句のほとり（29）〔自句自解〕………………………………… 田中清之
◆《関東特集 Ⅰ》 〔地域別作家・特別作品〕
作品・小文 ……………………… 植木和昭・小野崎清美・菅原光恵
永橋久子・藤井智恵子・森加名恵
作品評 ………………………………………………………池田ブランコ
◆《特集・森加名恵句集『声』》
二つの故郷 〔作家論〕 …………………………………… 太田土男
一句鑑賞 …………… 大串若竹・岡田信雄・甲斐のぞみ・神田松鯉
鍬形ゆきこ・髙宮義治・長浜よしこ・薬師神和美
◆２か月競詠 〔特別作品〕 …………………………… 瀬﨑憲子・毛利節子
競泳評 ………………………………………………………… 宮澤美和子
◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 …………………………… 平田倫子
◆今月の本棚 〔書評〕 西村和子著『シリーズ自句自解Ⅰ ベスト１００』
…………………………………………………………… 毛利晴美
◆探鳥１ 〔同人作品鑑賞 ―２月号〕 ……………………… 中村昭義
◆探鳥２ 〔雑詠５句欄鑑賞 ―２月号〕 ……………………… 山根繁義
◆探鳥３ 〔雑詠３・４句欄鑑賞―２月号〕 ……………………… 郷田健郎
◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品〕 …………………………… 平岡千代子選評
◆ひろば 〔エッセイ〕 ……………………………… 岡野さち子・水野幸子
◆私の好きな季語（16）〔エッセイ〕 …………………………… 薬師神和美
◆言葉の手帳（16）〔短評〕 ………………………………………… 酒井康正
◆百鳥集 〔雑詠〕 ………………………………………………… 大串 章選
◆百鳥の俳句〔雑詠欄選評〕 ………………………………………… 大串 章
◆４月号句会案内
