◆今月の主宰作品
◆今月の主宰作品
■蜷の道 大串章
蜷の道わが来し道を振り返る
同人誌の仲間老いたり山笑ふ
菜の花や夕爾にまみえざりし悔い
啄木忌母を背負ひし記憶なし
一斉に発ち風となる春かもめ
農人の花見はいつも山桜
酒止めて蛙の声を聞く夜かな
青蔦に覆はれカフェの開店す
昭和の日昭和を知らぬ子ら遊ぶ
<千葉公園 2句>
春風や戦なき世の喇叭山
喇叭水仙進軍らつぱ遥かなり
<高滝湖周辺、市原湖畔美術館など9句>
うららかや上総なまりのアナウンス
釣舟を湖にちりばめ山笑ふ
太陽へ代田光を返しけり
廃棄田挟みて水田植田かな
田植機に径を譲りて下校の子
葱坊主余生たのしむ如く立つ
佐保姫の目蓋の如し二重富士
山藤の靡きて姫の舞ふ如し
薫風の野に立ち決意新たにす
<市原・海づり公園 6句>
海釣りの親子の日焼け相似たり
投げ釣りの竿に夏日の煌めけり
飛魚を見たき子に空限りなく
たんぽぽの絮追ふ夢を追ふ如く
船虫に出合ひて春を惜しみけり
投げ釣りの沖に巨船の朧なり