◆今月の主宰作品
◆今月の主宰作品
■山河 大串章
<榎本牧場 6句>囀りに山河色めき立ちにけり
飛花落花大河はよどみなく流れ
牛飼の花びら浴びて餌運ぶ
牧場の菜の花ハイジ出て来さう
春の虹牧場に牛の散らばれり
菜の花や蕪村の月の昇りゆく
<さきたま古墳 5句>
古墳より古墳を見やり青き踏む
春月や古墳と古墳語り合ふ
琴を弾く埴輪に春の灯の揺らぐ
花冷えや武人埴輪の薄笑ひ
譜面台据ゑて桜を見上げけり
灯台に薄日射しゐる余寒かな
残る鴨指差して子ら駆け出せり
別れ霜畦道に竹束ねあり
大棚田耕人同士手振り合ふ
佐保姫のこゑ裏山に響きけり
上り簗打ち捨てられし雑魚乾く
白子干す庭に波音ひびきけり
航路標昼は灯さず風光る
鳥の巣を見て来て巣箱作りけり
垣繕ふ築百年の家見上げ
牛小屋に春愁の貌並びけり
巣立鳥湖を飛び越えてゆく
花人となりて憂き世を忘れたし
伊勢講の貸切りバスに杖と笠
逃げ水に追ひついて夢覚めにけり