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◆鳳声集(同人)秀句

◆鳳声集(同人)秀句

枯野ゆく齢七十九となり       甲斐 遊糸

母校もう冬休みなり通り過ぐ     原田  暹

献身の柩の帰国冬銀河        塩谷 康子

蒲団敷き詰めてしばらく子と遊ぶ   小田 玲子

セーターの自画像若し追悼展     鈴木 綾子

アフガンに遺しし水路冬の虹     若林杜紀子

散紅葉貼りつく水車回りけり     徳永 真弓

冬枯れの牧に羊と雲の影       田中 清之

抱く吾子にマスクをむしり取られけり 北川 玉樹

農小屋の壁に錆びたる狐罠      村田美穂子

白泉忌思はず廊下見詰めけり     三木星音子

荒波を越えし余生や帰り花      秋山  寛

波静か初日鳥居の真中より      植木 緑愁

数へ日と言ふいちにちの暮れにけり  宇和川喬子

大嘗祭三度見えし白寿かな      岡林 稲甫

大綿を捕へし拳ゆるめけり      木下 涼薫

小流れの落葉が落葉引き寄せて    工藤 文子

手術後の眼まぶしむ聖樹かな     小林恵津子

初雪や縄脱けの犬帰り来ず      小林とみゑ

忘れたきことあり落葉浴びにゆく   後藤 雅夫

廃屋に残る風呂桶雪ばんば      齋藤 佳織

すがる目の野良猫と逢ふ霜の朝    斎藤ひでを

マフラーや正論は控へ目に言ふ    酒徳せつ子

傘寿までと買ひし日記の無事終る   坂本たま子

静けさに消え入りさうな雪蛍     佐口 直子

老いてなほ日々を楽しむ冬木の芽   四條 乙女

亡き夫の部屋を灯して年守る     関口喜代子

白鳥を見に行く課外授業かな     髙木加津子

浮寝鳥波が耳打ちしてゆけり     髙橋 喜和

入院の母を恋ふ子やクリスマス    武田 和代

飲兵衛が玉子酒飲み早寝かな     田代 和峰

病室の人それぞれに年を越す     谷口  裕

煮こごりや水軍史聴く島の宿     寺尾 若水

枯るる中常盤木薄き日をまとひ    寺岡八重子

冬紅葉見つめてをれば栗鼠走る    中川 英子

手の平に溶くる風花友逝きぬ     早川 高士

十二月八日ピアスの男の子      百武みどり

五年日記拾ひ読みして年惜しむ    水沢 燕子

枇杷の花魚網で囲む浦の畑      水野 幸子

釣餌売る島のコンビニ冬ぬくし    毛利 晴美

小春日の厩舎に水をつかふ音     森田佳代子

冬帽子冬帽子二人で鹿を撫ぜてをり  山下 明宏

この椅子に昭和の文人冬紅葉     山西 貞子

石仏に異国のコイン冬日差し     和田 眞美

◆百鳥集(会員)巻頭句と選評

  炉話に座敷童のうなづきぬ  舛添 迪弘

 炉話というと囲炉裏を囲んで和やかに語り合う有様が目に浮かぶ。一家団欒の楽しいいっときである。私が子供のころは囲炉裏や炬燵が暖を取る主な手段であった。しかし今はエアコンやファンヒーターの時代となり、炉話も民宿や一部の旧家に残っているだけかもしれない。

 その炉話を座敷(ざしき)童(わらし)が聞いているというのが一句の眼目。座敷童は東北地方で、旧家に住むといわれる家を守る神のこと、「小児の形をして顔が赤く、髪を垂れているという」(広辞苑)。その座敷童が炉話を聞いて頷いている、という発想が意表を突いておもしろい。

 舛添さんは今月、こんな句も発表している。

  盆の窪なでてゆきしは雪女  迪弘

 盆の窪は項(うなじ)の中央のくぼんでいるところ、その盆の窪を何者かがすっと撫でて行った。思わず振り向くと雪女であった。この発想も意表を突いておもしろい。舛添さんはファンタスティックな昔話が好きな方なのだろう。(大串章)

◆今月の主な内容

◆山河逍遥(134) ―大串章の一句― 〔主宰作品鑑賞〕 ………… 望月周

◆今月の名句 〔秀句抄出〕 …………………………………… 山本三樹夫抽

◆「湖国」〔主宰作品〕 ………………………………………………… 大串章

◆鳳声集(一)〔同人作品〕(自選)
◆鳳声集(二)〔同人作品〕(主宰選)
◆鳳声集秀句 ………………………………………………………… 大串章推薦

◆百鳥作品評 〔主宰・同人作品鑑賞―1月号〕 ………………… 西村麒麟(古志)
◆第26回鳳声賞受賞者小論――三木星音子小論 ………………… 若林杜紀子
◆第26回百鳥賞受賞者小論――秋山寛小論 ………………………… 徳永真弓

◆「百鳥新年の集い」に参加して ………………………………… 中條ひびき
◆「新年本部句会」に参加して ……………………………………… 荻原葉月

◆第3回帆翔賞選考経過
     受賞作品および受賞の言葉 ………………………………… 小出功
     選考を終えて …………………… 大串章・石崎宏子・山本三樹夫
     帆翔賞準賞 ……………………………………………… 高木加津子
        佳作 …………… 大串若竹・早瀬和子・冨迫翠・齋藤佳織

◆特集《大串若竹句集『二輪草』》
     総論 ………………………………………………………… 川原瀞秋
     一句鑑賞 ………………… 井上進・入谷一舟・岩本康子・小林烈
               高野万津江・高宮義治・田中陽子・谷上佳那

◇百鳥こども俳句 …………………………………………………… 山根繁義選

■追悼 山遊亭金太郎 30句抄 ……………………………………… 鶴田寿子
           追悼文 ……………………………………… 比田誠子

◆2か月競詠 〔特別作品〕 …………………………… 入谷一舟・渡辺正子
   競詠評 …………………………………………………………… 鈴木綾子

◆現代俳句月評〔総合誌掲載作品鑑賞〕 ……………………… 池田ブランコ

◆今月の本棚 〔書評〕― 金子兜太句集『百年』………………… 中村昭義

◆探鳥1 〔同人作品鑑賞     ―1月号〕 ……………… 山本三樹夫
◆探鳥2 〔雑詠5句欄鑑賞    ―1月号〕 ………………… 毛利晴美
◆探鳥3 〔雑詠2・3・4句欄鑑賞―1月号〕 ………………… 杉本今子

◆飛鳥集 〔テーマ別募集作品 ― 摘草〕 ………………… 宮澤美和子選

◆私の好きな季語(63)― 野火 …………………………………… 木村芳朗

◆失敗しない文語文法(15) ……………………………………… 楢崎美和子

◆百鳥集 〔雑詠〕 …………………………………………………… 大串章選

◆百鳥の俳句〔雑詠選評〕 ……………………………………………… 大串章

◆3月号句会案内